第3章 くじら
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買い出しした大量の食材をとりあえず車から下ろして。
のんちゃんのお母さんにお礼を言って。
よし台車で運ぼっか…ってしたところで。
「穂波ちゃん、手伝うよ」
『わ!わわ!京治くん!』
京治くんの登場。
京治くんとは3月にツトムくんの写真をうちに見にきてくれて以来。
葉書でのやりとりを月に一度くらいのペースでしていて、
わたしも合宿に参加することは前回送った葉書で伝えた。
「もう梟谷の荷物は運び終えたから」
『いいの?助かるな…ありがとう。 …あ、えっと、2年生ののんちゃんです。
のんちゃん、梟谷学園の主将の京治くんだよ』
「赤葦です。えっと…」
「あっ 阿部のどかです。よろしくお願いします」
「阿部さん。こちらこそよろしくお願いします」
なんだか礼儀正しいく落ち着いた2人だな…とか思いながら。
台車に積んでいく。
「穂波ちゃん、髪の色少し明るくなった?」
荷物を調理室の台に置き終えて、京治くんがふわっとわたしの髪の毛に触れる。
今年度入ってから、勉強との両立と思うと逆にタガが外れて、
海に、機会があれば行っている。
今までもそうだったけど、そうほんとにタガが外れてる。
乗れる誘いは全部乗る、って感じで。
勉強に結構時間を費やしているから、そう、
逆に海もたっぷり補充しないとバランスが取れないのだ。
この間いつものヘアサロンに行って、
全体的にはいつも通りの落ち着いた色に染めてもらいつつも
もうすでに海水と日光でダメージは受けてるので、
ブリーチはせずにゴールドのハイライトを入れてもらった。
というか、いつものお兄さんがちょっとやってみよーよって言って
それもいっかぁって、やってみた。
お母さんの考え?のおかげで、
髪の毛のケアは定期的にしていて。
サーフ帰りに生乾きで登校、家のお風呂のあとも濡れたまま他のことやりだす…
なんてわたし自身はズボラなのだけど、
プロのケアのおかげで綺麗でできる限り健康的な状態をキープできてる。
いやこれほんと、お母さんの元を離れても自分でちゃんとしないとなぁ…
とか、じわじわ最近感じている。
じゃないとわたしすぐにばっさばさになっちゃう!