第3章 くじら
7月20日(土)
合宿1日目。
朝来た人から準備。
わたしは音駒のマネちゃんたちのお手伝い。
それから山本くんのおじいさんが今年もお野菜を持ってきてくれたので、
音駒の2年マネちゃんの1人、のんちゃんと山本くんと犬岡くんでお野菜を調理室まで。
そう、のんちゃんが今年はわたしの補助?というか、
一緒に仕込みをしてもらう。
もう一人のあっちゃんと一年生がばっちり合宿の方の流れを覚えてくれるはず。
それに森然での長期合宿に行けば、のんちゃんも合宿の流れは大体覚えれるというか
覚えざるを得ないから大丈夫だと思う。
余談だけど、あっちゃんはリエーフくんのことがすきなんだって。
のんちゃんは、バレーっておもしろいですね、って。
2人ともそれぞれの想いと動機があって春高の後に入部してくれた。
2人ともとってもかわいい子たち。
『山本くん、犬岡くんありがとう』
「おーっす、じゃああとよろしくな… ほんと今年もじいちゃん気合い入っててすまん…」
山本くんはそうやってちょっと、申し訳なさそうに言うけど、
わたしはもうほんとにほんとに毎回、
山本くんのおじいさんのお野菜を目にすると、手に取るとわくわくする。
綺麗で、新鮮で、美味しそうで…そして美味しくって。
『よし、じゃあね、献立決めてこっか』
「はい、お願いします」
のんちゃんは小さなメモ帳とペンを手にしてる。
教わるときにメモを取るということをなかなかできないわたしは
…そしてないものねだりでしてみても、
そのメモを全く有効に活用できないわたしは
のんちゃんのメモ帳に何が書かれるのかがちょっと気になりつつ。
あーだこーだと頭の中で色々シュミレーションしながら、
ざっくりと献立を決めた。
それから買い足すものをリストにしていく。
今回買い出しのために車を出してくれるのはのんちゃんのお母さん。
「着いたそうです。お願いします」
たびたび、お願いしますと言われてむずむずこそばゆい。
お願いするのはわたしの方なのだけど。
…とにかく、のんちゃんがかわいい。