第7章 su casa
日本の大学ってなんでこんなに結果出るの遅いんだろ。
来月入学なのにまだ不透明だなんて、とか思う。
受験自体が遅いからか、っていう結果に辿り着くわけだけど。
わたしの入試結果も、8月終わり入学のそれも、今月か、遅くとも来月には出る。
もし落ちていても。
カリフォルニアに行って、お兄ちゃんの仕事のサポートとか、
カズくんの身の回りのこととかしながら過ごすことにした。
日本に残ってまた一年勉強して過ごすという手もあるけど、
大学生研磨くんとの日々はきっとわたしを離れがたくするんじゃないかと思った。
だから、結果がどうであれ8月には渡米する。
研磨くんは滑り止めを受けなかった。
わたしはUCバークレーの他にUCLAにもエッセーを提出した。
もしUCLAだけに受かったらそのまま入学して、
3年次までにバークレーにトランスファーできたらいいな、と思ってる。
研磨くんはそう、一橋大学一本で。
先生もまぁ、大丈夫なんじゃない?とは言ってたけど、
けどまぁ、なんだっけ、偏差値?とか国内でも高いとこらしいし、
結構な奇抜な選択ではあったみたい。滑り止めなしなことが。
別にそこにしか興味ない!みたいな熱い想いが研磨くんにあるわけではなくて
きっと受かるし、他のとこしっくりこないし。
みたいな、いつもの研磨くんの調子。
そして研磨くんは春高のあと、
「…まぁ、そうだけど」
「それなのにもう行く予定の大学の近くに家借りるとか、研磨って本当時折すげー大胆だよな」
「というか黒尾から聞いた時は本当にびっくりしたよ。すごいな、研磨」
「…ん 別にすごくはないけど…」
「で?賞金いくらだって? 黒尾教えてくんねーだよ、俺にすら」
「いや、いいことだと思うぞ。人にベラベラ喋ることじゃない」
「海は聞いてるとか言わねーだろうな!」
「聞いてないよ」
「そもそも海は、賞金いくらだった?とか聞いてこないんです〜」
1月の下旬、国内のeスポーツの大きな大会に初出場。
そしてワールドグランプリへの出場権を得た。
ワールドグランプリは夏ごろ、って言ってたかな。