第7章 su casa
ー穂波sideー
「穂波っさーん! おめでとー!」
演奏を終え、アンコールも終えた焼きマシュマロの金髪くんが駆け寄ってくる。
大きな、おおきな、ハグを!
次いでピアノくんもドラムくんもベースくんも。
みんなみんな可愛くてかっこよくて最高なお友達!
ありがとうを伝えて。
また遊ぼうねって話して。
金髪くんは研磨くんとLINEを交換して。
じゃああとはバレー部の皆さんで楽しんでくださーいって言ってあっさりと片し始めた。
こういう時のさっぱり感がまた、いいよなぁ好きだなぁって思いながら。
一人バレー部ではないわたしの肩をクロさんが抱き寄せる。
「おめでと、穂波ちゃん」
『クロさんありがと。今日会えるだなんて思ってなかったから嬉しい』
「ほんとキミはそれだけのことで嬉しそうにするんだから」
ファミレス行こーぜ!いや、セブンだろ!
などと言いながらみんなが歩き出したのでそのままわたしたちも移動する。
少し前で研磨くんは夜久さんと海さんと歩いてる。
あああ…懐かしい、この感じ。
山本くんと福永くんももちろん可愛がられてて、仲がいい。
けど当たり前のようにそこには先輩と後輩っていう関係性がある。
それがわるいとかそういうことじゃなくて、ただ、あって。
そしてそれがそのまま愛おしさにもつながる。
でも研磨くんと夜久さん、海さんの間に流れるものは友達に近くて。
なんだろ、でもちょっとやっぱり先輩っていうか。
タメ口だけど年上。 だけど年上だからってどうこうはなくて……
んー、プライベートで出会った年上の人みたいな、感じっていうか。
今更だけど、でも久々に見るとしみじみと、あぁ… ってなる。
「研磨と一緒に引っ越すの?」
『ん?引っ越すってほどではわたしはないけど… 同じ日から入居はさせてもらいたい… な?』
「は?」
『え?』
「いやなんで今俺におねだりするみたいな感じだったの?勘違いで落ちるってば!」
『え、そんなだった?ごめんね』
「でもお前らさ、合格発表はまだなんだろ?2人とも」
夜久さんがこちらを振り返り、後ろ歩きしながら話を続ける。