第6章 リレー
ー穂波sideー
明日は日曜で、高校最後の夏休みの日で。
今日、研磨くんはこのまま泊まっていってくれる。
だから明日も朝から研磨くんと過ごせる。嬉しいったらない。
クロさんや周平たちもなんだけど、
明日朝ごはん食べたら遊びに行っちゃうんだって。
遊児もおばちゃんの都合で昼前には出ちゃうし、
カズくんも撮影入ってていないみたいだし。
なんかちょっと寂しい感じもある。
『え、周平もクロさんもどこ行くの?』
「友達のイベント〜」
『朝からやってるの?』
「昼からだらだら過ごしながら準備手伝いつつって感じ」
『…ふーん』
「なに穂波、不満なの?」
『別に、不満なんてないけど』
研磨くんと2人で過ごせるし、そんなの嬉しすぎる。
でも、それとこれとは別で、
別に急いで出なくてもいいのになんで朝ごはん食べて出るんだろ、とかちょっと思う。
「…笑 いやあからさまに不満げでかわいいんだけど。クロさん勘違いしちゃうよ?」
『…不満、じゃないけど』
「…笑 ダメだ研磨、このままだと俺、襲いそう」
「穂波は明日なにしたい?」
『…んー、研磨くんといつも通りに過ごしたいな。 …けど』
「けど?」
『明日のうちは昼過ぎまでちょっと賑やかかな』
「うん、別にいいんじゃない?それはそれで」
『うん、そうだね』
「うん、そうだよ」
カズくんも遊児も一緒に階段上のスペースに移動して。
だらだらと一緒に過ごす。
シャワー浴びてくる、とか、
お茶とってくる、とか。
みんなが寛いで過ごしてて、隣には研磨くんがいて。
それはそれは、しあわせな時間。
「研磨は?シャワー浴びねーの?」
「あ、うん。浴びる」
…今年の浴衣研磨くんも見納めかぁ。
「けど、穂波は?一緒に浴びたいけど」
『へっ』
いつもお母さんやお父さんがいても普通にそうしてるけど、
なんか友達の前でそんな… 明け透けに…
「…?」
挙句そんなかわいいきょとん顔、ずるい。ずるい。ずるい!