第6章 リレー
ー研磨sideー
『結婚式は、そうだなぁ。もちろんお祝いの場の雰囲気がわくわくするし。
表情とか空気感とか見るとこたくさんあるよねぇ。
お父さんやお兄ちゃんみたいに写真はわたし撮らないし、うん、
やりたいことはあの場の空気をたーんと味わってしあわせでふくふくすること。
やりたいなんて思わなくたって、ふくふくになって帰ってくるんだけどね。
それからやっぱり食べ物が楽しみだよね、正直なところ』
…笑
ツトムくんは多分、穂波が自分の ケッコンシキ でしたいことを聞いたんだと思うけど。
その頓珍漢且つ、結局食べることに繋がった返事にツトムくんも他の友達もぽかん、としてる。
言ってる本人は何の疑いもなくそれを喋ってて、
それからそれを喋ってるだけで幸せだと言わんばかりにほわほわした顔してる。
「あー… そうじゃなくて… まぁいいや。 おー、それ綺麗だね〜」
穂波はカズマに火、分けてーとか言って花火に火をつけて。
それはパチパチするやつ。
大きい線香花火みたいなのしてる。
選んだわけじゃないけど、煙がでないやつらしくて、光がよく見える。
『煙も匂いも花火のキオクに繋がってて、いやじゃなかったけど。
煙ないのはないので、いいね。よーく見える』
「…ん」
穂波がケッコンシキでしたいこと。
ほんとはちょっと聞いてみたかったけど。
きっとさっき言ってたみたいなことを、
招待する相手にも感じて欲しいとか、そういう視点から考えるんだろ。
でも、そもそも穂波はケッコンシキ、したいのかな。
するのが、普通なのかな。
するのが普通だとしても、だからするってタイプじゃないし。
まぁいいや。
どのみちおれにはまだ、早い。