第6章 リレー
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「お、研磨くん。いいじゃん、そっちも」
2人でシャワーを浴びて、
一度部屋に戻って浴衣に着替えて階段を降りると、ツトムくんがカメラを構えてて。
ファインダーを覗き込んだまま話しかける。
今年は墨色の無地の浴衣にしてみた。
帯は紺地に生成りの縞の絣がはいったやつ。
髪の毛はゆるっとうしろで結んでて…
色っぽいったらない。
研磨くんの醸し出すアンニュイな色気と浴衣はよく合う。
合いすぎて、罪深い。
「…ん、穂波が選んだ」
「今から祭り行ってくんのー?」
「…ん」
『何かいる?』
「いらないよ〜 ありがと。いってらっしゃーい」
ひらひらと手を振るツトムくんに手を振りかえして。
お母さんやカズくん、数名に行ってくるねと声をかけて、
下駄をつっかけ家を出る。
手を繋いで、いつもより小さな歩幅で。
「穂波」
『ん?』
「腕、組まない?」
『…あ、うん。 思ったより人多いね』
「うん」
研磨くんの腕にくるっと腕を絡める。
なんだか、手を繋ぐより研磨くんに頼っている感じがして、ほわほわしてくる。
こうすると手を離さなくてもお財布からお金出したりできるから。
お祭りのときは、こうする、みたいに…なっていくのかな。
「たこ焼きだけでいいの?」
『うん、家にも美味しいものいっぱいあるし』
「じゃあ、いつもと一緒だね」
『うん』
わたしたちのお祭りの定番は、たこ焼きとりんご飴。
というか、それしかまだ買ったことない。
たこ焼き買って、リンゴ飴買って。
石段に腰掛けて、ふーふー はふはふ しながらたこ焼きを食べる。
「ゲームオーバーよりゲームクリアのがかなしい」
『…?』
突然の研磨くんの… 独白?