第2章 ふたり
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6月中旬。
東京都のインターハイ予選を終え、一学期末のテスト期間になる前。
直井さんから相談があるとのことだったので、
レッスンのない木曜日に練習の見学。
もうマネージャーが3人もいるし、
手伝うこともなくって、ここからのんびりと眺めてる。
大きな声を出すことは全部、山本くんがしてる。
集合!とか、そういうこととか。
研磨くんは相変わらずのままキャプテンを務めてて、
それがまた、音駒バレー部って感じがしてとてもすき。
それから練習を終え猫又監督の話を聞き終えた部員が散り散りに片付けをする中、
直井さんがわざわざこちらに来てくれた。
2階のギャラリー。
運天〜!って向こうから呼ばれると思ってたので、少し慌てた。
「よー運天。久しぶりだな。特進クラス入ったって聞いたぞ、どう?」
『直井さん、お久しぶりです。授業はおもしろいです〜深く知れて』
「成績落とさないってのは聞いてたけど、そこまで頭良いとは…」
『現実世界に落とし込めてなくて、おっかしいですよねw』
「…? 学校の授業も現実だぞ?」
『あ、そっか。 日常生活に、です』
「…あぁ、そういうことか。 …それでさ、特進クラスって夏期講習とかに学校来たりするのか?」
『希望者だけなので、わたしは参加しませんよ』
「………。 いやほんと、無理にとは言わないんだが…」
『………』
「予定が空いていて、勉学やプライベートに差し支えがなければ、だな。
今年も夏の間に2回、音駒である合同合宿に参加してもらえないだろうか?」
…およ? マネちゃん達3人もいるのに。
『…ん?』
「食事の方を任せたいんだ。他校の経験あるマネージャーもみんな卒業しちゃっただろ。
烏野の谷地さんだけは経験あるけど、とはいえ、人数もすごいし、
去年は運天にほぼ任せっきりだったからなかなかタフだと思うんだよな」
『なるほど』
「仕込み以外の時間は勉強とかしててもらって良いから…
夏休み前半と後半の計2回、計…8食分、頼みたい」
『…そうですね』
んーと…