第6章 リレー
ー穂波sideー
賑やかに、それはそれは賑やかに、
わたしが参加する合宿最後の食事の時間が過ぎていく。
離れている机をくっつけて、
それはまるで最後の晩餐のようだね、とか言いながら、
音駒と烏野のみんなで食べるご飯は自分が作ったとか関係なく、
味がどうこうじゃなく、とてもとても美味しかった。
「今日はこれがあるんだよな!いつもはデザート果物なのにな!」
『…ふふ、おととい研磨くんとパピコ食べてね』
「パピコ?」
『うん、白いやつ。あ、茶色のも食べたけど、白いのも食べたの』
「…それでカルピス?」
『なんか似てない?乳酸菌系?』
「おぅ!似てる!っていうかそんな感じで献立ってできるんだな!
なぁ穂波ちゃん、おれさ、もっと食事管理自分できるようになりてーんだよ!
メールとかでさ、いろいろ聞けたりする!?
今はさ、母ちゃんが作ってくれてるけどおれらもあと一年ちょっとで卒業するだろ、だから…」
「おい、日向ボゲ」
『えっ?』
「えっ?影山、お前に何も言ってねーから!いきなり罵るのはどうかと思うぞ!」
わたしの向かい、研磨くんの左隣にいる翔陽くんに、
わたしの右隣にいる影山くんが突然の罵倒を浴びせた。
…罵倒と言ってもいつもの、愛しいやつ。
「穂波さんには俺の食事管理頼むんだよ、今更入ってくんな」
『……』
「は!?そうなの、穂波ちゃん」
『その、ようですね… 笑 光栄です』
「…? なんで敬語なんスか?」
「え!でもでもメールで聞くぐらい大丈夫だろ?」
『え?うん 笑 もちろん、もちろん大丈夫。 あまりマメじゃないし、上手に言葉にできるかはわかんないけど…っていうか』
「おぅ、なになに?」
『ちゃんと栄養学に通じてるわけじゃないから、そういう知識も再来年までに、少しでも蓄えておくね』
「え!いいよいいよ!そのままで全然! …ってわかんねーけど」
『わたしも折角ならより美味しく、高野豆腐のように』
「…?」
翔陽くんや影山くんの食事のアドバイスか。
実現するかはわかんないけどきっと世界に羽ばたくであろう2人のそれを、
オンラインでできるのなら、それは光栄で、それは楽しいことだろうなと思った。
仕事ではなく、友達として。