第6章 リレー
ー穂波sideー
このメンバーで、
未来の話をするなんて。
なんだかむふふ、である。
「あーぁ、もう合宿終わっちゃう」
蛍くんのかわいい発言。
蛍くんがそんなこと言うなんて、ね。
「秋に合宿やったとしても来ないんでしょ、穂波さん」
『顔は見にくるよ♡蛍くんの顔』
「それも嬉しいけど、1日いるのといないとじゃ全然違うから」
わたしが手伝うのはここまでで良いと思った。
他にもやることあるんだし、さくっと次へ繋いでいきたい。
「そっか、もう穂波ちゃんのいる合宿はこれでお終いか」
『もー京治くん、そういうこと言わないで。
っていうか京治くんにとっては、それ以前に、夏の合宿はこれでお終いか、だよ』
「あぁうん、まぁそうなんだけど。それに関しては特に… 孤爪もだろ?」
「え、うん、おれは別に」
研磨くんと繋いでいる手に汗をかいてきて、
一度どちらともなく手を離し服で拭う。
それからすっと元の位置に戻ってきた研磨くんの小指を握った。
こうしてみんなといるのに、
携帯とかゲームを触っていない研磨くんって、あんまりないな、とか思いながら。
空はどんどんと明るくなる。
そろそろ、調理室へいかないとな。
『…それじゃあそろそろわたしは行くね』
「うん、じゃあ僕は一旦もどります」
「今日は俺も、戻ろうかな」
「途中まで一緒に行く」
みんな解散するみたいで、一体何の集まりだったんだろうって少し疑問が湧くけど。
まぁいいや、別になんでも知りたいわけじゃない。
それぞれがよいしょ、と立ち上がろうとしたその時、
べちゃ!
と輪の真ん中に、鳩が、フンを落とした。
『 ! 』
「あっぶな…」
「ぎりぎり、もうちょっと前に屈んでたらかかってた」
「…いやでもみんなに跳ねてる」
足元をみてみると、
靴の先っぽとかにみんな少しずつかかってて。
運気あがるかな、とか言ってみたけど。
研磨くんは相変わらずだし、蛍くんも相変わらずで。
京治くんだけが、すこしまじめに応えてくれた。
そんな、合宿最終日の始まりの朝。