第6章 リレー
「花火とかみんなでしたいよなー!」
「リエーフ、それいいな!でも流石に学校ではできねーよなー」
「だよな、烏野の合宿所とかならどっかでできそうだよなー」
「だな!来年できるといいな!」
手持ち花火、か。
研磨くんとしたことないな。
研磨くんと静かに花火、したいかも。
「この人たちと花火やるなんて、想像しただけで騒がしい」
「なんだと月島!どんな想像だよ!」
「絶対両手に持つでしょ、それも一本ずつ計2本なわけない。
3本ずつとか絶対持つし、振り回すし、走るし、虫とか葉っぱとか燃やすしで、
ぼや騒ぎがおきかねない。 絶対許可降りないから」
…ふふ、確かに。
おとなしく、一本だけ持ってる感じは……
『あれ?でもリエーフくんとか犬岡くんとか翔陽くんは意外と一本でしっぽりもいけそう』
「そうかな? いや絶対うるさいから」
『でも夕くんだけは、花火を一本持ってる絵が浮かばない』
「…ふ」
『夕くん、花火一本だけ持ったことある?』
「俺はな、ガキのころ怖いものいっぱいあったんだけどよ、花火も怖かったんだよな。
それで一本だけ持つからそこに気が行って怖いんだよ、
両手に持て、そしたら怖くなくなるから!ってじいちゃんに2本ずつ、4本持たされて」
『………』
「怖かったけど、それで持てるようになったな。
なんつーか、分散されたのか?」
『…おじいちゃん、ファンキーだね』
「がはは!ファンキー、ノヤのじいちゃんはまじでファンキーだぞ!」
『あ、田中くん』
「え?」
急に潔子さんとの会話を思い出して、そわそわしてしまう。
潔子さんに会った?とか、いきなり、唐突に聴きたくなる。
『い、いえ、なんでもないよ。夕くんのおじいちゃん、会ってみたいなぁ』
「絶対口説きそうだよなー!」
「だろうな!」
学校についても寝るのが惜しくて、
しばらくそんな賑やかな時間を校門のあたりで過ごす。
蛍くんも山口くんも。
芝山くんも研磨くんも。
誰一人、お先です、とこの場を去る人がいなくて。
妙に、キュンとした。