第6章 リレー
『…あ、ガリガリする!』
穂波が嬉しそうに呟く。
穂波×ソーダ味って新鮮。
烏野でメロンソーダ初めて飲んだって言ってたな。
「だろ! うめーだろ!」
アイスを持ってない方の手を腰に添えて、
足を広げて、ほぼ仁王立ちでそう言う夕くんの手にあるアイスは、
もう半分もない。
…え、いま穂波一口目だよね。
意味わかんない。
『うん、美味しいね!夕くんありがとう』
「おー!いいってことよ!」
このアイスのお礼はいつか世界のどこかで返すんだって。
この2人なら普通に出会って、普通に実現してそうだなって思う。
他に何、約束してたっけ……
確か、海と山? …すっごいシンプルでざっくりだけど。
おれにも食べる?って言ってきて、一口だけかじった。
…うん、ガリガリする。
・
・
・
『わーーー!口の中クリームソーダになる!』
「…笑 うるさい穂波さん」
穂波の反対隣では月島がカップのバニラアイスを木のスプーンで食べてて。
それを一口あーんしてもらった穂波が興奮してる。
多分クリームソーダ自体、まだ免疫がないっぽい。
月島の奥では赤葦がチョコモナカジャンボを割りながら食べてる。
…それ、おれ絶対一度に全部食べれないやつ。
パリパリして美味しいけど、半分でいいやつ。
…半分でいい、から。
穂波と食べるのいいかも。今度選ぼっと。
穂波はガリガリくんを月島の口元に持っていって、
月島はあーん、て言ってよ、とか言ってからかったりしてて。
おれがここにいるからって月島が遠慮することも、
穂波が月島とのあり方を変えようとすることも一切なくって。
これ。
この2人は最初っからこれだから。
信頼できるんだと思う。
『京治くんも食べる?ガリガリくん。口の中変になるかなぁ?』
月島の隣にいる赤葦を覗き込みながら穂波が言う。