第6章 リレー
ー穂波sideー
「行ったことないの?島根」
カレイの流れで島根県の話に。
『うん、行ったことないや。鳥取も山口もあるんだけどな』
「へぇ、行ったことない県あといくつある?」
『………』
「………」
『秋田、青森… んー? わかんないけど、そんなない気がする。でも、』
「うん、知ってる」
『…?』
「県っていうより、的なこと言い出すのかなって」
『うん、そんな感じ。北海道行ったことあるって言っても、北海道広いし。
沖縄も島いっぱいあるし。 まだまだまだまだ、知らないところがいっぱい。
行った気、になんて到底なれない。 研磨くん、沖縄行ったことある?』
「中学の時の修学旅行で行った」
『…へぇ!』
中学生研磨くん×沖縄……
逆に想像しやすいのが可笑しい。
『…修学旅行だと、美ら海水族館とかひめゆりの塔、とか?』
「うん、そこは行った …あとパイナップルパーク?みたいなとこ」
『へぇ、知らない。パイナップル食べれるの?』
「うん、食べれた。 美味しかったと思う」
『…ん 笑 自由行動だっけ?そんなのあった?』
「…あったけど」
『………』
「具合悪くなって、ホテルでゲームしてた」
あぁ… 愛おしい。
仮病じゃないんだな、ほんとに具合悪くなったんだ。
でも、一人残ったホテルの部屋でのびのび過ごす研磨くんを思うと、
とても愛おしい。
時折様子を伺いにくる先生にちょっとめんどくささとかを感じつつ、
うまくやり過ごすんだろう。
「…なに考えてるの」
『愛おしい中学生の研磨くんを想ってる』
「なにそれ」
『いいの、いいの、放っておいて』
「………穂波は?」
『あれ?研磨くん何年の時だった?』
「おれが行ってたとこは中二の時。 …あ、そっか、日本いなかった?」
『そうそう、そうなの。修学旅行ね、行ってないんだー 音駒もないもんね』
「…あぁ、普通、高校ってあるの?」
『あるっぽいけど…? よくわかんないな、でも』
「あ、翔陽……」
『ね、蛍くんも言ってた』
秋に修学旅行があって、東京に来るって。
春高予選の後だって言ってたな。