第6章 リレー
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「おはよ、穂波」
台所で朝食の支度をしてると、
昨日遅かったのに、研磨くんがいつもより早く起きてきた。
『わ、早いね』
「うん、遅く寝ると早く起きること結構ある」
『そっかそっか、お茶飲む?ちょうどいい温度かも。熱いかな』
「飲む」
カウンターのとこのスツールに腰掛けた研磨くんにお茶を渡して。
『ご飯はいつもの時間でいい?』
「うん」
『うん!』
「…笑 …散歩、する? 今なら暑くないかな、とか」
『わ、いいね。 朝の散歩。 しようしよう。
ちょっと待っててね、キリのいいとこまでやっちゃう』
「…ん、ゆっくりでいいよ」
初めてだ、研磨くんと朝の散歩。
にやにやしちゃう。
にやにや、にやにやしながらキリのいいとこまで。
その間に研磨くんはカップを持ってテラスの入り口のとこにある椅子まで移動した。
椅子に深く座って、ゲームしてる。
愛しい人の見慣れた、愛しい姿。
はぁ、幸せ。
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『研磨くん、お待たせ。いつでも行けます』
「…ん、行こっか」
5時半、研磨くんと家を出る。
朝散歩。
特になにも決めずに歩き出したけど、やっぱり自然と足が河川敷に向かう。
ジョギング、ランニング、運動としての散歩。犬の散歩。いろんな人がいる。
早起きは常だけど、朝散歩ってしてなかったなって思う。
わたし達は別に、運動不足なわけじゃないから、
のんびりのんびり、腕を振ることもなく、手を繋いで歩く。
「…いいね、朝の散歩」
『ね、次につながってく感じ』
「…あぁ、うん。 いいかも」
『うん、無理なくこれからも、研磨くんとしたいな』
「…ん、おれも」
それからなにを話すでもなく、てぼてぼとあまり遠くへ行かないように歩いて。
このまま研磨くんの家の方へ歩いていけばあの写真の場所に繋がるんだな、って思いながら。
わたしたち、こんな近くに住んでたんだなーって。
一続きになる川を見ながら思ったりした。