第6章 リレー
ー研磨sideー
「当たったら傷付くのに?」
もう家に着いて。
今、ソファに座りながらちょっとよくわかんないけど、
人類最強の設定の話になってる。
穂波といると、たまにこういうことになる。
『当たったら傷付くのに。だから痛みがわかるから、心も強いの』
「………」
『でも当たらない力持ってる人も、痛みはわかるかぁ……』
「…そっか、設定だからそう言うとこまで考えていいのか」
『ん?』
「過去とか、いろいろ」
『あー、そだね。そうなるのかぁ』
「………」
『あ、当たっても傷付かない、とかどう?』
「………」
『あ!研磨くん、クマムシって知ってる???』
「クマムシ? 知らない」
話が、逸れた。
でも正直、人類最強とかよくわかんないから、いい。
よくわかんないくせにちょっと、入り込みそうになってたし。
『すっごいんだよ。海、山、南極、熱帯……いろんなとこにいるの』
「…へぇ 南極はすごいな。海も、か。 水があればいいの?」
『おー、そう、水がないと動けないんだって』
「…動けない? 生きれないんじゃなくて」
『おおー、研磨くんー♡ そうなの、そこがすごいとこなんだよ』
「………」
『みんながみんなじゃないっぽいんだけど、陸生のクマムシでね、水がない、乾燥しちゃうってなるとね。
なんだっけ?とにかく仮死状態にになって代謝を止めるんだって』
「…へぇ」
『…で、その状態だとね』
「うん」
『凍らせても、水かければ動き出すし、湯掻いても死なないし、真空状態も、
逆に圧力?かけても、すごい量の放射線浴びても死なないんだって。
あ、あと宇宙空間でも生きれるって』
「なにそれ。 …最強じゃん」
『ね、すごいよね、詳しい数字は覚えてないけど。とにかく、すごい』
「虫なの?」
『虫だけど虫じゃない。多分、クモとかダンゴムシみたいな。
普通に見たら虫だけど、生物分類上は動物』
「…へぇ」
ちょっと、気になるなと思ってスマホで調べてみる。
「うわ…」
結構、インパクトある見た目だった。
横からだとそうでもないけど、正面からは結構すごい。