第6章 リレー
『でもさでもさ、それを言ったら』
「…」
『研磨くんはもう尊くって、尊くって、尊くって……最強だよ』
「…笑 とうとい…」
『ごめん、もう最強すぎて言葉が見つからなかった』
「…ん、ちょっとよくわかんないけど、そんなのでよく張り合ってきたねw」
『な、なんですと!』
「…笑」
『研磨くんが最強ということだけは譲れなかっただけ』
「おれは別に、最強じゃなくてもいいけど。…穂波と2人でいて最強なのは、いいかも」
『うん、ほんとだね。ほんとだね』
「…」
『でもさ、最強ってなに?』
「…ふ 最強ってなんだろね」
『最強って実はいっぱいあるのかな』
「…かもね」
『ゲームで最強ってどんなの?』
「…え、それは……」
あ、しまった。
研磨くんがすっごく困ってる。
わくわくしながら、困って…る…
…かわいい。
『…あ、研磨くん。次の話題へ行こう』
「………え? ちょっと待ってね」
『…笑』
ぶつぶつとなにかを呟いたり呟かなかったりしながら
考え込んでるうちに家まで着いてしまった。
いろんな通りの、最強があるんだろな、と
小さく聞こえる呟きから思った。
攻撃力、防御力、回復力… ラスボスでは…とか。
結局答えはでないままみたいだし、きっと答えはひとつじゃない。
…あぁ、かわいい。
『…じゃあ人類最強を作ってみよう』
「え?」
『設定をさ、考えてみよう』
よくわかんないけど、研磨くんが無限ループに陥ってるから。
思いついた事を言ってみた。人類最強ってどんな人だろう。
「それは、どの次元の話?」
『…え? あ、じゃあ、二次元で』
一次元では、人類最強なんて、五万といる気がする。
人それぞれ、だもん。わたしには研磨くんが最強だ。
みんなに知ってもらいたくもあるけど、みんなにとって最強になってもらっては困る。
いやでも多さで言ったら二次元の方がそうか。 でも二次元の方がなんでもありで楽しそう。
「やっぱ攻撃力は秀でてないとね」
『そっか、まぁそうだよね』
「敵の性質とか世界観にもよるけど、攻撃があたらないとか」
『…?』
「避けるわけじゃなくて当たらないとか」
『え、でも避ける方がわたしは好きだな』