第6章 リレー
『…えっと、あ、カズくん』
「…ん 笑」
良かった、ちゃんと聞いてた。思い出せた。
『カズくんは明後日かな?帰ってくるはずだよ、だからお祭りの時はいる』
「そっか… ニューヨークだっけ? 穂波行ったことある?」
『3回とか?かな、フロリダとかノースカロライナとか東海岸にはそれでももうちょっと行ってるよ』
「へぇ ニューヨークもサーフィンできるとこあるの?」
『うん、あるよ、いいとこ、ある。割と長閑で、地元の人とかサーファーがくるような』
「へぇ」
『ニューヨーク、興味あるの?』
「んー 興味はないけど、ちょっとチェックしてるものとかある」
『へぇ…』
ニューヨーク、わたしにとってはエンターテイメントやファッションとか、カルチャー的な要素が強いけど。
研磨くんには… 株とか、かな。
「ニューヨークは13時間。カリフォルニアは16時間」
『…?』
時差、だよね。
「カリフォルニアの方が近いのに、変なのって思った」
『…笑』
「でも地球が回ってるって考えたら普通だし」
『うん、けど、不思議な感じもするよね』
「うん。オンラインゲームとかでもそういうのはまぁ、なくはなかったけど。
でもおれはまだ部活が時間の軸になってるから。
今まではそんなにそういうの、体感?っていうか。身近に感じなかったけど」
『…』
「穂波と出会ってからじわじわと。
で、今回、カリフォルニアだし。だいぶ、リアルにいろいろ、迫ってきた」
『…』
「距離とか、時差とか、そういう色々」
『…ん』
「離したくない、離れたくない なんて、言うのは簡単だけど」
『…』
「んー… 全然、いけるなって思ったよ、改めて」
『…』
「離れたくないは大前提で、でもそんなこと言ってらんないし。
そうなったなら、うん、大丈夫なんじゃない って」
『うん』
「…別に不安はないんだけど、さ」
『うん』
「より、確信?を持つっていうか」
『うん』
「おれたち、もしかして、最強かも」
『…ふ だね、もしかしたら、最強かも』
「…ん」
…かわいい
『だって、賢者と踊り子だもん』
「…ん、だね。そうだ」
賢者と踊り子がどう、最強かはわかんないけど。
でも、うん。わたし達は最強だ