第6章 リレー
ー研磨sideー
喉からからで目が覚めると、穂波はいなくて。
あれ、今何時だ? 何日? みたいな状態に一瞬なった。
それからお腹が空いてることを思い出して、
部活帰り、シャワーも浴びずにエッチして、
それからお腹空いたなって思いながら寝ちゃったんだ、て理解した。
テーブルの上のお盆には、さっきとは違う、保冷瓶が乗ってる。
冷たいの、持ってきてくれたんだな。
逆さまに置いてあるグラスを上に向けて、麦茶を注いで。
喉を潤してからささっととりあえず服を着て、お盆を持って下に降りる。
『あ、研磨くん起きたね。おはよう』
「…ん。 お茶、ありがと」
『いえいえ。 持っておりてくれてありがとう』
「…ん …シャワー、借りるね」
『うん、いつでも食べれるようにしておくね』
「…ん お腹減った」
穂波、すごいかわいい顔で台所いたけど。
あれなに。 いちいち、何。
それからなんか、いろいろ広がってた気がする。
いつになく、台所に、いろいろ。
まぁ、いいや。
シャワー、浴びる。
・
・
・
「…わ、なんか」
『作りすぎてしまいました』
旅館の夕飯みたいな品数になってる。
しかも置ききれないと踏んだのか、
小さいお皿に盛り付けられて一人分がおれの前に広がってるから、ますます旅館感。
ささみの南蛮漬け、イカとズッキーニの炒め物、高野豆腐の煮物、もやしとちくわのナムル、
タコと胡瓜の酢の物、トマトと玉ねぎのサラダ、ひじきと紫玉ねぎのバルサミコ酢マリネ、
茄子とピーマンの揚げだし、スパイスかぼちゃもち、玉子焼き(紫蘇入り)、
ぬか漬け(きゅうり、茄子)、枝豆のすり流し、麦ごはん。
「…すご」
『品数は多いけど多分、全体の量はいつもと一緒くらいによそったつもり』
「…ん、お腹空いてるからおかわりするかも」
美味しいのはもう、食べなくてもわかる。
さっぱりしてること、重くないことも、見ただけでわかる。
おかわりすると思う。