第6章 リレー
ー研磨sideー
1日練習のあと。
そのまま穂波ん家に向かう。
13時ごろに出て、11時間くらい飛行機に乗って、
着くのが翌日の16、17時ごろとか。
頭では理解できても、経験ないおれにはよくわかんないけど、
絶対苦手だ、とは思う。
日付変更線とか時差があって、
実際に移動に使った時間よりも進んでたり縮んでたりするのとか、しんどそう。
結局トータルではプラマイゼロなんだろうけど。
穂波はもう慣れてて、機内で寝るとか起きとく時間調整したりして、
時差ボケはあまりしないらしいけど、
それでもいつもどこかボーッとしてる印象があるから。
家行く、って言ってみた。
『研磨くん、おかえり!』
玄関の扉の先にいたのは、予想以上にいつも通り…
いやいつもより嬉しそうな?
…いや、いつも通りか、久々に会った時の穂波。
大きな綺麗な花が咲いたみたいな笑顔で、おれの名前を呼ぶ。
「…ん、ただいま。 穂波もおかえり」
『うん!ただいまぁ』
穂波は腕をするするとおれの身体に巻きつけてハグをしてくる。
腰に腕を回して、おれも抱きしめる。
穂波の匂い、穂波の感触、穂波の温度。
離れてても意外と大丈夫なんだけど、でもやっぱ一度触れてしまうと、離れがたい。
「だめだ、欲しい」
『…わたしも』
「心さん達は?」
『太陽浴びてくるって、自転車乗ってパン屋さんとか買い物行った』
「…元気 笑」
『…ん、元気 笑』
「…部屋行こ」
『うん、麦茶飲む?』
「うん、ありがと」
穂波は冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注ぎ手渡す。
それからお盆にボトルとグラスを乗せて、行こっか、って。
欲しい、ってなってからの部屋いこっか、なのに、
今日は妙にお互いに落ち着いてるな、とか。
ほんと我慢できないときは、気付いたら脱がせようとしてたり
脱がせちゃってるんだけど。
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