第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー穂波sideー
「穂波」
モーケーン族へ想いを馳せたのちに、
また本を読み進めてると愛しい人がわたしの名を呼ぶ。
『ん?』
「そろそろ、グラニタ買いに行く?」
『あ、うん!行こう、行こう」
涼しい部屋から廊下へ出ると
むわっとした空気に一気に毛穴が緩む感じがする。
「…暑……」
玄関の扉を開けるとさらに暑くてそれから眩しくて。
研磨くんはいつものキャップをさらに深く、被る。
『研磨くん、これかけてみる?』
「え」
『眩しいのだいぶラクになるよ』
「それは、そうなんだろうけど」
『………』
「…ん、かけてみる」
お。やった。
研磨くんはわたしのサングラスを受け取る。
「わ、全然違う。色、思ったより変わんないんだね」
『ね、あんまり変わらないのを選んでるのもあるけど』
「でも穂波眩しくないの?」
『眩しいよ、眩しいけど、今はいいの』
「…ん、じゃあ借りる」
研磨くんの綺麗な瞳が隠れるのは残念だけど、
研磨くんがいつか、海に一緒に行ってくれるなら。
カリフォルニアに会いにきてくれるなら。
サングラスはきっと、絶対あった方がいい。
でもそもそも研磨くんが、サングラスをしてくれるか分からないなーって思ってた。
けど、これは好感触。
似合いそうなのぼちぼち探してみようっと。
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「…あ、うま」
『んー 美味しいねぇ♡』
ここに来るまでにかいた汗がすーっと引いていく。
研磨くんはレモン、
わたしはブラッドオレンジ。
研磨くんはサングラスを頭にかけていて、それが、また、たまらない。
「そういえば、穂波」
『んー?』
「翔陽から聞いたんだけど、烏野でゼリーぶつけられたの?」
『へ? …あぁ?うん、あはは、そんなこともあったね』
そうだそうだ、そんなこともあった。
大地さんの集中、について喋り倒したら、もう気が済んでしまってたけど。
まだ、蛍くんとのあれこれや白布くんとのあれこれ、話してないや。
あ、でももちろん、白布くんと同じ布団で寝てたことは海から電話で伝えてある。