第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー研磨sideー
『ゼリーは当たったけどね、でもそれはどうでもよくってさ…』
うん、まぁ、そうなると思ってたんだけど。
結局穂波が話したのは、その後のこと。
水遊びになってしまったこと。
服を乾かしながら日陰で時間を潰したこと。
その後に行った喫茶店での奇跡の組み合わせ。
それからバスを待ってる間に転んでうでを擦りむいたこと、
平気の一点張りで通してたら、おばあさんが傷口をすすげるように水を持ってきてくれたこと。
その流れで白布ってやつの話になって、傷口の手当てをしてくれたこと。
お陰で傷は残らなそうだってこと。
『傷も勲章だなぁって思うから気にしないけど、
それにしても別に大したトリック決めようとして転けたわけじゃないし、よかったなぁって。
その気持ちとかがさ、ありがたいなぁって、思った。白布くんも、蛍くんも』
「…ん、おれも別に傷があってもなくても関係ないけど、残らないなら残らない方選んで欲しい」
『ふふっ…ありがとう 研磨くんの日々はどうだった?』
「おれは、別に普通だよ」
『うん』
「………電話で話した通り。ゲームと部活」
おれの毎日なんて、穂波と一緒にいないと同じことの繰り返しなのに。
穂波はいつもそれを、嬉しそうに聞く。
『うん!』
「…明日、夜久くん来るって。それに合わせて海くんも」
『わぁ!』
「…穂波も顔出せたらおいで」
『うん!』
絶対連れてこいって言われてるけど。
絶対来て、とか言うわけない。
ていうか絶対連れてこいって何。
『明日行く!それから研磨くん、明日うちで夕飯食べてかない?
明日のレッスン休講なんダ、だから…』
「うん、いいね。そうする」
『わーい、やったぁ♡ …溶けてジュースになっても美味しいねぇ』
穂波はすっかり溶けたグラニタを飲みながら嬉しそうな顔してる。
明日、多分泊まってく。
それなら今日はもう、大人しく穂波をかえせるかな、とか。
しあさってにはカリフォルニアに行っちゃうし、
その間におれは森然合宿あるし、たっぷり補充しときたい。