第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー月島sideー
「おい月島!」
穂波さんを見送ると凄い勢いでこちらに来る日向。
「なに?」
せっかくの良い気分が台無しだ。
「穂波ちゃんにお前っ 変なことしてねーよなっ!?」
「はい?変なことってなんのこと?」
「だだだだって、さっき、すっげーー近くに顔寄せてただろ!?」
「…あぁ、まぁね。それが何か?」
「っきききききっ きっ キッスとかしてねーだろうな!?」
「ブハッ…笑」
吃りすぎてキッスになってるじゃん。おっかしい。
「うるさいな、ほんと。落ち着きなよ、中学生じゃあるまいし」
「おっ落ち着いてるよ!」
「あぁ、そうですか、それは残念」
「おい!どういう意味だよ月島!」
「そのまんまの意味だよ …じゃあ僕もバス来るから。じゃあね、日向」
まだ、バスは来ないけど。
そう言えば自転車乗って帰ってくかなと思って。
案の定、腹が減ってるのか、勢いよく帰ってった。
靴が生乾きでむわっとしてて相当気持ち悪い。
あの3年の女子のことも胸糞悪い。
ケーキも冷静に普通に考えると、不味くてそして食後の胃の不快感もある。
胃もたれを起こしてる、これ。
そんな、最悪なことが3つもあったというのに。
存外、悪い日ではなかった。
というか、相当楽しかったし、気持ちがいい。
自分でもよくわからないほどに、穂波さんに溺れてるというか。
でも溺れているわりに、意識はしっかりあって。
自分の足で歩いている感じがするのがまた、持続可能な感じがする。
溺れてはいるけど依存はしていない、と言ったところか。
…そんなややこしいことはいいか。
今回もやっぱり、穂波さんとわかれたのちに思うのは、
やっぱり好きだな、っていう極シンプルなこと、ただそれだけ。