第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー穂波sideー
蛍くんがわたしの妄想に近い、
いやでも現に目の前にある子たちの話についてきてくれて、
意見を述べてくれてることが、たまらなく愛おしくて。
笑ってしまった。
『蛍くんが、あまりに愛おしくって。笑っちゃってごめんね』
「………」
『今日、ここでしか起きなかった出来事だよね、これ。
わたしこういうの大好き。 …昨日温泉でさ、話したことの続きみたいだけどさ』
「………」
『当たり前の中に落ちてる小さなハプニングみたいなもの。そういうのも、スパイスになっていいよね』
「………」
『クリスマス、誕生日… いろんなイベントはこの世にあるしそれなりに楽しむけど』
「………」
『わたしにはこういうのが大事で、かけがえがない。そしてね、蛍くん、』
「………」
『こうしていろいろを共有してくれてありがとう。ほんと、大好き』
「…はい? ちょっと意味がわからないです、唐突すぎて」
『あはは!いいのいいの。それでいいの』
「って言いたいんですけど」
『…ん?』
蛍くんはメロンクリームソーダの入ったグラスを持ち上げてストローを口に含み、
その鮮やかすぎる程に発色のいいグリーンの液体をちぅーと喉に流し込む。
「なぜかわかっちゃうのはなんでですか。ほんと、やめてほしい」
『…笑』
「ねぇ穂波さん」
『ん?』
「結婚してください」
『へっ?』
「好きです」
『…ん』
「結婚してください」
『………』
「…笑 ぶっ かわいい」
『…もぉ、蛍くん』
「冗談ではないけど。 彼氏に言われたことある?」
『…ううん、ないよ。ないよ、普通にない』
「やった、先に言えた。返事はそうだな… 穂波さんが結婚するまでに聞かせて」
『はい』
「あはは! かしこまった、もじもじしてる」
意地悪で、優しい顔してわたしを見下ろすように笑う。
蛍くんの愛は、底が抜けてしまったのだろうかと思うほどに、深い。