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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit


ー月島sideー







冷房の効いた時間を潰すようなとこなんてこの辺りには喫茶店くらいしかなくって。
やっぱ小川の方に行けばよかったかな、とか思いながら歩く。
でももう、たっぷり外で過ごしたような気分になった。

水道で水を掛け合い、校舎裏の日陰で弁当を食べ、
昼寝する穂波さんの隣で物理の勉強をしてただけなのに。









『ここくらいしかない?』

「うん、ここくらいしかない」








この人はなんでも楽しむだろうけどいくらなんでもだろうか。
特別感なんてひとつもない、
昔の商店街の名残りに残る年季の入った喫茶店。

たばこのヤニが壁についていそうな、ところ。









『蛍くんよく行くの?』

「まさか。来たことない」

『へー、じゃあ入ってみよー。わーい』









穂波さんは嬉々とした様子で扉に手をかける。
ドアベルの音。

いらっしゃいという、おばさんの声。









『ねぇ、蛍くん』

「はい」

『わたしもう何頼むか決めちゃった』

「あ、そうですか。とりあえず座ろ」








隣にいる穂波さんは想像以上に楽しそうだ。

…ほんと、変な人。









『でもねでもね、相談があるの』

「…? あぁ、頼むもののこと?」

『うん。メロンクリームソーダ飲んでみたいの。飲んだことない』

「…はぁ」

『蛍くんは飲んだことある?』

「…うん、まぁ、それなりに」

『好き?』

「まぁ、普通に。嫌いじゃないよ。 …でも」

『…?』








あんなどぎつい色した飲み物、飲んでいいの?
なんかイメージとかけ離れて…… いやそうでもないか。
この人の魅力はこの、ボーダレスな感じだ。
偏見がなくて、柔和で、その時その時を楽しんでる。








「なんでもない。じゃあ僕もちょっと挑戦してみる」

『うん、なになに?』








ショートケーキを頼んでみようかな。

ショーケースにいつからいたのかわからない、
薄いホイルの上に乗せられたショートケーキ。

こんな賭け、普段は絶対しないけど。

今日は、この人といるし、
この人といても普段はそんなことしないけど、
まぁ今日は、そんな気分だ。













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