第2章 ふたり
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部屋でごろごろ。うとうと。
研磨くんが泊まりにくるのはいつぶりかな。
3月に音駒と梟谷のみんなを呼んで、
ツトムくんの撮った春高の写真を見たとき以来かな。
あの時は、うっかりと言うのは無責任で頼りない感じがするけど…
でも本当にうっかり、コンドームをつけずに最後までしてしまった。
いつも、ちゃんと着けてるのに、
いろいろあって、いや色々なんてないんだけど、でも、
いろいろあって、最後まで。
その時の研磨くんの対応はわたし的にはもう、なんて言うのかな、
完璧だなんて言うのは何様?って感じだけど、でも完璧だった。
研磨くんが言うから完璧というか。誰が言っても、なやつじゃない。
というか、誰が言っても、なんてのはないか。
結果的に生理は普通に来て、
その時の寂しさは今も忘れられない。
生理が来ることはいつもすごくありがたいのに。
その時だけは、寂しかった。
研磨くんとわたしは学校を辞めて育てようと思ってたから。
でも、わたしたちのいつかの赤ちゃんが、
まだ来たくないって思ったんだな、
まだ行かないよって思ったんだな、って思うと、
じゃあ来てくれるまでに楽しいこともっとたくさんして、
それからもっと頼りがいのある人間になってるね、って思えるようになった。
だってわたしたちはまだ17歳で、まだ親に養ってもらっている身だから。
そしてわたしはその話をお母さんに話した。
生理が来たら別に言わなくても良いことなのかもしれないけど、
そして信頼をなくすかな、とも思ったけどでも、隠していることができなかった。
「してしまったことに2人で向き合って、自分たちの非力さを痛感して、
その上で頭下げる覚悟もして、産んで育てることを決めた。それがわかってよかった」
お母さんは厳しくも優しい声でそう言った。
「お母さんとお父さんはいつでも穂波の味方だから。
だから、自分で考えることをこれからも恐れずに。
それから、必要な時はちゃんと助けを求めるように」
涙が出そうになるのを堪えた。
それから、ありがとう。って、なんとか音にしたんだっけ、な。
言えなかったんだっけな…
わたしもいつか、自分の子供にこんな風に言えたら良いな。
そう思ったのは、よく覚えてる。
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