第2章 ふたり
ー穂波sideー
「…おれは別に、良いかなって思う」
家族会議みたいな場所に研磨くんが普通にいる。
「心配は、そうだな…
穂波だしそりゃあるけど、逆にカズマがいるから安心できることも多いかなとか。
もともと心配はしても、不安にはならないから、別にいい。
不安は解消したいって思うけど、心配は気にしてもしょうがないことが多いかなって思うし」
『………』
「あとおれ、なんだろな… 前からだけど前よりもっと、大丈夫って感じある」
『………』
「前は基本的に連絡先交換しない、っていうスタンスの穂波だったけど、
春高以降、何人かと交換してて。
それからも誰彼構わずじゃないけど、仲良くなれそうな人とはしてるでしょ。
それは男女問わず。 相手の穂波への気持ちも問わず」
『………』
「どうなのかなって見てたけど、なんか全然変わんないし。
普通がどうかもわかんないし、変わるとしてもどう変わるかとかも知らないけど。
なんて言うか… 信頼が増したっていうか。 逆に安心が増したっていうか」
『………』
「んー、よくわかんないけど、おれはまぁ、気にならない。
穂波のしたいようにしてほしい」
「…うん、わかった。 研磨くんありがとう。穂波は? まだなんかある?」
『ううん、特に。
詳しいことはまた近付いてからっていうか、まずはそもそも受かるかなっていう段階だし。
いやぁ、点数取れてればいいってわけじゃないのが不透明で先が見えなくて楽しいねぇ』
「…笑 まるちゃんっぽい」
『え?』
「あはは!確かに今のはまる子っぽかったね」
『あ、まるちゃん? 嬉しいかも〜 わーい』
「…笑」
まるちゃんって日曜日だっけ。
なんか急激に見たくなったりして。
…ていうかまるちゃんで流されちゃったけど、研磨くん。
淡々と、嘘のない言葉を、ただ淡々と。
その言葉を伝えてる相手のはうちの両親なわけで。
内容はわたしと研磨くんのことなわけで。
胸がきゅうっとした。
何度でも思う。
研磨くんに出会えてよかった、って。