第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー月島sideー
最悪だ、これ。
あの人、最悪。
「穂波さん大丈夫?」
この容器が破裂するって結構な強さでぶつかってるよね。
『…ん? 大丈夫だけど、全然状況が掴めてない』
相変わらずどこか間抜けた顔でぽかんとしてる。
「いやでも結構痛いでしょ、これ相当だよ」
『こんなくらいスケボーで転んでぶつけるより痛くない』
「スケボーでぶつけるより痛くないことなら何してもいいわけじゃないデショ」
『…それもそうだね』
「…笑」
『ふっ 笑』
「あはは……」
『んふっ… 笑』
いやそこじゃないでしょ、って会話に普通になってくことに僕は笑ってしまう。
穂波さんは… ゼリーを背中に浴びたこと、とかに笑ってるんだろうか。
「あーあ、服の上じゃなったら舐めてあげるのにな」
『なっ 蛍くん!』
「ちょっとなんなの!?どうして怒らないの!なにアンタ、すっごいムカつく!」
アンタ達、にしなよ…
『…え、わたし?』
穂波さんは小さくそう呟いて、
スケボーを横に立てて地面に置いてあの人に向かってとこに歩いてこうとする。
「いいよ、行かなくて」
『…ん、でもわたしのせいで気分がぐしゃぐしゃしてるんでしょ』
「いいから」
っていうか、当たるなら僕に当たれよ。
わけわかんない感情だな、ほんと。
手首を掴んで引き寄せる。
『…まぁ、そばにいってどうこうとかもないか』
「………」
『わたし、怒ってるよー!』
「 ! 」
そんな快活な怒ってるよ、があるか。逆に怖い。
『…ん、蛍くんありがと』
「そのお礼はなにに対して?」
『うーん今近づいても、あの子の怒りを逆撫でしただけだったかもしれないし』
「………っていうか服、替えある?」
『んー?昨日結構汗かいたから替えはないけど、脱げばいいし』
「あぁ…」
生成りのリネン地のショートパンツに同系色の薄手シャツ。中に黒いインナー。
足元は黒いビーサン。 ラフだけど小綺麗で、そしてよく似合ってる。
シャツを脱げばいいってことだろう。