第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー月島sideー
「うっおおおおおおおおーーーーーーー!穂波ちゃん!!!」
「穂波ちゃんだーーー!!!」
「おい月島っ!穂波ちゃんに変なことしてねーだろうな!」
「穂波さんだ!やべーーーーー!!」
あー、うるさ。
田中さん、西谷さん、日向に加えて、1年の部員数名も穂波さんに早くも懐いてる。
そんな賑やかな人たちが塊になって、穂波さんに押し寄せる。
取り囲まれた穂波さんに一言告げて、
僕と山口は部室へと上がる。
山口とは途中で合流して一緒に来た。
穂波さんは山口といる時、かわいい顔をする。
悔しいけど、孤爪さんといる時の顔はもう、別次元で。
山口といる時はそれとはまたちょっと違うけど、
音駒の犬岡といるときの感じっていうか。
なんだろう、姉弟感っていうか。
…僕といるときもこの顔してないといいんだけど。
弟はちょっと、癪だ。
穂波さんに渡された東京土産にギャーギャーと騒いでいる声が
部室の中まで聞こえてくる。
…今日、こんな感じか。
今日は午前練習。午後は自主練だ。
急遽久しぶりの半日練習になった日が今日で、心からラッキーだと思う。
母さんは今日半日になったことをすっかり忘れていて、
穂波さんの分と合わせて2つ、弁当を用意した。
でもちょっといいかも、と思う。
どこか涼しいとこで一緒に弁当食べれるのとか。
…まぁいい。
とりあえず練習だ。
部室の扉を開けて出ると、
下から穂波さんが僕を見上げ、
ニコッと笑い小さく手を振った。
自分の学校に好きな人が訪ねてくるの、
想像以上にいいかもしれない。
今、かなりグッときた。
小さく会釈を返し、階段を降りる。