第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー穂波sideー
蛍くんのお家に着いて、
もうわりといい時間だからご両親におやすみの挨拶をして蛍くんの部屋にいって。
明光くんも一緒に。
オセロをしたり、ババ抜きをしたりしながら、
他愛無い話から、進路とか将来のイメージとか。
蛍くんといると無いような会話も、明光くんがいることで普通に交わされる。
蛍くんはきっと、東北大へ行くこととか。
わたしが大学でやりたいこととか、その先のイメージとか。
明光くんのプライベートのこととか、仕事のこと、それからバレーのこと。
いろいろ、いろいろお話しした。
それからそろそろ寝よっか、明日も部活だしって事で。今。
蛍くんはわざわざ廊下をついて歩いてくれて、部屋の前まで送ってくれた。
「穂波さん、すきです」
『…ん、ありがとう』
「じゃあ、おやすみなさい」
『うん、おやすみ』
そう言ったところで、唇が重なった。
少し、扉に押し付けるようにして、でも優しく。
「隙、あり」
『…っ蛍くん』
「じゃあ、また明日」
蛍くんは優しくも悪戯な笑顔を見せて、スタスタスタと自分の部屋へ戻っていく。
こんな、実家の廊下で… ほんと、蛍くんの余裕そうな感じはなんていうか…
さらわれる感じがする。
それでいて、何だろうなぁ…
仕返し、したくなる。
彼女だったら絶対してる。
蛍くんの、あんな顔やこんな顔引き出したいって、きっとなるだろうな、とか。
ふかふかのお布団に横になって、そんな妄想をしているうちにいつの間にか眠っていた。
そして、起きてるうちに確かに感じた。
研磨くんと月日を重ねるのと同じように…
いや同じようにではないけど、確かに今年は蛍くんに出会って2年目の夏で。
何かこう、積み重ねてるものが、ここにもあるなって思った。
そしてそれを考え出すと、そこここにあるなって。
いろんな人とのいろいろが、そこにも。ここにも。