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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit


ー月島sideー





『歌詞の直訳ではなく、意訳。解釈ってことだよね?
時々によって捉え方は違ってくるけど、わたしにとってはそうだなぁ……』






穂波さんはどこかをぼーっと見つめ、それからふっと微笑む。

視線の先をたどると眠たげな幼稚園児だろうか、
そのくらいの子供がソファでごろごろとしている。
足をくねくねさせ、父親のスウェットについた小さな毛玉を取ってはどこかへ放り投げてる。





『さっきの話みたいに、些細なことが積み重なると大きいでしょ。
だからさ、そうだな、わたしはそんな感じ』

「は? ちょっと想像はしてたけどテキトーすぎない?」

『あはは、ごめん。蛍くんの賢さに任せすぎかな 笑』

「僕はさ、何もかもうまくいくから、些細なことは気にしなくていいよ、みたいな」

『おぉ…素敵』

「そんな風に思ってた」

『うん、うん』

「でも穂波さん見てると、気にしなくていい些細なことってなんなんだろうって思えてきて」

『へぇ…』

「まぁ、それで聞いたわけだけども」

『うん、まだ答えれてないかな?』

「そうだね、まぁいいよ、なんとなく言わんとしてることはわかる」

『…ふふ、ありがとう。 あ、明光くん来た。 ほわほわした顔してる』




兄ちゃんはお待たせーって言ってこっちに来た。
確かにほわっとした顔はしてる。

立ち上がる穂波さんの手をとって、車まで歩く。

穂波さんは手を繋いだら、ふって僕を見上げた。
首を傾げて見かえすと、ちょっと困ったような恥ずかしそうな顔をして笑った。



玄関の下駄箱のとこで清掃のおばさんに
『ありがとうございます』
って普通に声をかける穂波さん。



君にとってのなんでもないその、一つ一つが。
確かに僕の中にどんどんと蓄積されていく。

キスをした、一緒の布団で寝た、そういう少し大きな出来事より
くしゃっとした笑顔や、僕らの始まりだった質疑応答みたいなもの、その時の空気感。
それから瓶のりんごジュースだとか桃とメロンのショートケーキだとか、
そういうほんとに細かなアイテム的なもの。

僕の名前を呼ぶ声。僕が呼んだときの、ん?って声。振り返るその動作。
僕を見上げるあの、感じ。

そういう些細なことこそが、手放したくないものだなと、再認識する。



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