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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit


ー月島sideー





どうしても僕の頭の中では今、その子が穂波さんになってしまう。

そういうとこからかけ離れたところにいるこの人は、それでもどこか儚くて。
いやでも儚くも強いから、きっとこの人は大丈夫だけどでも。

たまに想像する。

感情に蓋をする程ではないことかもしれないけど、
そんなのだって人によってどう重さを感じるかは違ってくるわけで勝手に括れない。

もし、僕が隙だらけのこの人を半ば無理やり抱き潰したら。
孤爪さんが許してくれないほどに抱き潰して、僕のものにしてしまえば。
その時、この人はいつものあの綺麗な笑顔で笑ってくれるだろうか。
その時は無理でも、いつか笑ってくれる日は来るだろうか。

失う気しかしない。
そしていつか笑顔が戻るにしても、
それまでの失っているその間の日数すら想像するに耐えられない。
そんなことするくらいなら、一生会えなくていいと思う。

その理由が僕ではなくて、そして隣には孤爪さんが変わらずいるのなら話は別だろう。
それはそれで起きてしまったこととして、捉えるだろうけど。



そんな想像をしてしまっていると、
穂波さんの質問がうまく入ってこないし、
単純に穂波さんは何を考えてるんだろうと気になった。






『ちょっと、日本っぽくなくって。
もっと日本に、ここでの日常でも起きていること、虐待とかいじめとかに、落とし込めたらいいんだけど』

「…?」

『今浮かんでるのは、スーダンの子ども。
武装集団の戦力に育て上げるために、捕まって。
戦力として使い物になるように、人を殺すことに躊躇のない人間にするために、
お母さんやお父さんや友達を自らの手で殺させられた子』





…虐待もいじめも壮絶だ。比較してどうこういうものじゃない。
一つ一つが、まっすぐ向き合うべき大きな案件だと思う。

それでもちょっと想像以上に壮絶なのが来て、一瞬頭が真っ白になった。

それは確かに、想像しがたいほどに、辛い。





ほんとこの人、一体何なんだろう。
能天気そうに見える。実際能天気だ。
天真爛漫で、無邪気で。

でも、世界をまっすぐ見つめてる。

それでいて、この、魅力を保ってる。

…ってそこじゃない、今考えるべきは。
すぐ、穂波さんに心を持っていかれてる自分を小さく嘲る。








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