第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
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「りんごジュース飲みます?」
『あ、いいね。飲もっか』
「瓶のあるから、僕買ってきます。一緒に飲むんでいい?」
『うん、ありがとう』
「兄ちゃんは?」
「俺は水買ったからいいよ、はい、これで買ってこい」
明光くんは500円玉を蛍くんに渡す。
蛍くんは、 いいよ、ジュースくらい。子供じゃないんだから って言って
スタスタと背を向け自販機の方へて歩いてく。
「ははっ 蛍はまだ子供だってーのー」
『ふふ』
明光くんのその言葉に愛があって、心があったかくなる。
愛のある茶々は、良い。ほっこりする。
「でもさ穂波ちゃん」
『はい』
「蛍のこと、いつもありがとうな。彼氏いるのに」
『えっ そんな、それはこっちのセリフで…
彼氏がいるのに、こんな風に会うことを蛍くんのご家族が了承してくれるなんて…
本当にありがたいって思ってる』
「いやでもさ、ほんと。ケーキ食べてる時とか、あー蛍って小さ頃こんな感じだったなーって。
意外と無邪気なとことか、子供っぽいとことか、素直なとことか、あってさ。
一見ひねてくれてんだけどさ。そういうの、去年の夏辺りからまた、感じるようになったけど、
それって穂波ちゃんの存在すっごい大きいと思う。
もちろん、合宿で出会ったバレー部員たち、烏野のバレー部、それから忠ありきなのはわかった上で言ってる」
『………』
「マジで、ありがとうな」
『いやそんな… 蛍くんは明光くんのことがだいす……』
「はい、穂波さん。先どうぞ。 何の話?変な話してないよね?」
蛍くんがほいっとりんごジュースの瓶を渡してくれる。
『あっ、うん、ありがとう』
明光くんの方をチラと見ると、しぃーって人差し指を口元に当ててる。
ふふっ笑ってしまいそうになるのを堪えて、りんごジュースを口に運ぶ。
『うん、やっぱ美味しい♡ はい、蛍くん』
そうしてなんとなーく交互にりんごジュースを飲んで、
ぽつぽつ話したり話さなかったり。
その間に明光くんは、ちょっとマッサージチェアに行ってくるねって言って立ち上がった。