第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー穂波sideー
「…ただいま」
蛍くんがいつもと変わらないトーンでただいまを言い、
蛍くんのお母さんがこちらを振り向く。
わぁ…上品で笑顔が柔らかくて綺麗な方。
「母さん、こちら穂波さん」
『はじめまして。蛍くんと仲良くさせてもらっています、運天穂波です。
あのこれ、お土産です… お口に合うと良いのですが……』
「はじめまして、蛍の母です。お話はよく聞いています。お土産ありがとう。後でいただくね。
ささ、そんなかしこまらずに、気楽にどうぞ。夕飯もうすぐできるから楽にしててね」
お手伝いを申し出たら、
明光くんが俺が手伝うから蛍とゆっくりしてて、って。
そしたら蛍くんがとりあえず部屋行くから一緒にきて、
寝る部屋に荷物も持っていくよ、って言って、そのまま蛍くんに着いていく。
空いている部屋…
ほんと、ちゃんとゲストルームって感じで綺麗にされている部屋に案内されて。
荷物置いたら僕の部屋に来て、って言われた。
わたしの使わせてもらう部屋には入っちゃダメ、っていうのがご両親との約束らしい。
蛍くん、流石にそんなことしないのに。
でもそうだよね、年頃の男の子… 色々気にかけるよね。
つくづくうちの両親の奔放さが身に染みてわかる。
鞄を置いて、って言っても一泊だから小さな荷物。
お土産も渡したし、特に出しておきたいものはない… あ、あるある。
畳んでおいた紙袋を広げて、ラッピングしといたのを入れる。
さっき、ここだから って蛍くんが教えてくれた部屋をノック。
どーぞ、って言われて自分で開けるって勝手に思ってたら
はい、の声と少し遅れて扉が開く。
わざわざ立ち上がって開けてくれたんだ、と思って
扉から覗く蛍くんをじっと見つめてしまう。
「…なんですか。襲いますよ」
『…へっ』
「入りにきたんじゃないの?
そんなとこでそんな顔して見つめてきたら、連れ込んで色々したくなる」
『そんな顔って…』
絶対わたしぽかんと間抜けな顔してたのに。