第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー穂波sideー
今日はお庭で焼き鳥する。
おばあちゃんがお肉屋さんに頼んでおいてくれた分を遊児と散歩がてら取りに行くつもりが、
山で出会った大学院生の人とのおしゃべりが弾んでしまい、
間に合わない!ということで遊児が原付で取りに行ってくれてる。
わたしはその間、七輪に炭を起こしたり
付け合わせを作っておいたり、なんやかんや。
木の上で会った人は面白い人だった。
大学院生で、土壌の微生物の研究をしてるんだって。
でもなんでまた木の上に?ってなって、
結局その豊かさはそこだけにとどまらないから。って言ってた。
微生物は土を採取して研究室に持って帰ってしっかりみるけど。
今ここにいるんだからもっと広くみたいって。
土壌の豊かさは山の豊かさに繋がるし、
木が健康にそのサイクルを全うしていれば土壌もまた肥えていく。
でも山、として見るだけでもつまらない。
この木のこともじっくり見たいんだ、おかげで色々の予定は押して押してしょうがないけど。
そんなものでしょ、って大らかで、自分の興味にまっすぐで魅力的な人だった。
惚れ惚れした。
その人は長野出身の方で、お父さんはアトリエで物作りをしているそう。
そしてなんと、その制作しているものというのが、木彫りの動物だそうで。
わたしの持っているたぬきの置物がそうだったのだ。
研磨くんとおでんを食べに行った時にふらっと寄った古道具屋さんで見かけた
作家さんの動物の置物。
その佇まいに一目惚れし、そして諸々の流れがしっくりきすぎて、
たぬきを家に連れて帰らずにはいられなかった、それ。
また何かのタイミングで、集めて行けたらと思っていた。
大きなものではないし、なによりほんとに佇まいが素敵で。
少しずつ、集めたいなって。
そしたらこんな風に縁があるなんて、ほんと面白い。
いつか長野の実家に遊びにおいでって言ってくれた。
そして昨日も見かけたこと。
それから昨日のことや今日のいろいろをTwitterにあげてしまったこと。
もちろん場所の詳細や写真は載せてない、
ただ君たちのやりとりがパンチがあって、でもとても豊かで、みんなにシェアしたくなった。って。
嫌だったら消す、と話してくれた。
全然構わないよ、そんなの、と遊児と二人声を合わせて答えた。