第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
「………あーもー! 俺もっ!」
そう言って遊児はがっと抱き寄せて、わたしの頭をくしゃくしゃした。
「…にしてもよ、何いきなり言い出してんだ? 寂しくなってんの?」
…ほら、遊児はわたしのこと、実はすっごいわかってる。
研磨くんや蛍くんがわたしの考えてることをわかるのとはちょっと違う、
どちらかと言うとお兄ちゃんがわたしのことを解ってくれてるのと似てて…
研磨くんのそれも大好き…
っていうか研磨くんは、月日を重ねるうちにどんどん最強になっていくんだけど…
でも遊児のこれは、遊児だけのやつ。
『…ううううう 遊児ぃ……』
「…あー、もーほれほれ。泣きたきゃ泣けばいいけどさぁ……」
『ゆーじぃ、すき。 すき。 すき…… っぅううう』
「このタイミングですきすき言われると流石に俺も調子狂うべ?」
『だってすきなんだもんバカァ……』
「…なんで寂しくなった?」
顎をくいっとして上を向かせて、
わたしの目を見つめながら遊児はとびきり優しい目と声でそう問いかける。
遊児はいつもがいつもだから、
優しい顔をすると、優しい声をすると、とびきり甘い。
『遊児が……お嫁に行っちゃうのが寂しい……』
「………俺は嫁には行かねーよ」
『………』
「………」
『うう…間違えた…… 遊児がいつかお嫁さんと一緒になるのが寂しい……』
「…っっだぁ〜もうっ!ほんと今日やばいべや!俺押し倒すきっかけすっげーあるんだけど!」
『…いつかのその日を思うとすっごい嬉しいのに、寂しい……
お嫁に行く娘をみるお父さんの気分……ううぅッ…』
「……なんかちょいちょいおかしくね?」
『おかしくない』
「ふつーに、大好きな従兄弟が結婚するのが寂しい、で良いんじゃね?」
『…それじゃこの嬉しさと寂しさと見届ける感じは伝わらないんだもん』
「…ぶはっ なんでそこで妙に勝気になってくるかねぇ〜 ま、穂波っぽいけども」
『………』
「それを言ったらそれこそ俺はあれだべ?」
遊児はわたしの涙を拭って、
また、一段と優しい目でわたしを見つめる