第5章 hotdogs, layer cakes & parfeit
ー穂波sideー
7月25日(木)
朝からお茶のお稽古を終えて。
普段着に着替えて遊児と縁側でまったり。
脚を放り投げて、だらだら。
今日はまたいつもの川へ行こうってなってる。
あそこはとびきり最高の場所だけど、
あまり知られてなくって2人で思う存分遊べるのがいい。
朝食前におじいちゃんと遊児と畑に行って採ってきた夏野菜を使って、
お弁当を作って持っていこっかってことになってるんだけど…
『あははは…… ちょっと…ッ……』
遊児が足の裏をくすぐってくるものだから、動けない。
ひぃぃぃぃ……
すっと隙をみて遊児の手から足をすり抜けさせるんだけど、
また掬うように囚われる。
手も足も使って歯がいじめにされて次は脇の下や脇腹をこしょばされる。
『あははは…ッ …ちょっともうッ ギブッ……』
たんたん、と床を叩けば遊児はふっと身体を解放してくれる。
それからそのまましばし顔を合わせて、見つめ合うことになって…
こうしてみるとほんと、遊児って。
猿。
カズくんは古森くんを前の彼に似てるって言った。
たしかに似てるとこある。人懐こい感じ。愛嬌たっぷりな感じ。
でも、遊児のこのアソビ好きな感じ、それから目鼻立ち?
なんだろな、彼はNZの人で顔立そっくりってわけじゃないけど、
でも系統っていうか、眉の感じとか、似てる。
似てるからってすきなわけじゃないけど、
っていうかそこで好きになったわけじゃないから関係ないけどでも、
ふっと思い出す要因にはなるっていうか。
…今でこそ、遊児を見て前の彼氏を思い出したけど、
前は、彼氏を見て遊児をふと思い出してた、な。とか。
「穂波、明日気をつけろよ」
『…ん?』
わたしを見下ろし、見つめながら遊児が言う。
「でもまぁ、スノボ行くより安心だな、逆に。実家だし」
『あぁ、蛍くんね… うん、大丈夫。ありがとう』
「こんな風に、戯れ合うなよ家で」
『こんな風に戯れ合わないよ、研磨くんとすらしたことないこういうの』
「あー研磨はなー」
『遊児だけ、だよ』
「あーそれ襲うー」
ふざけた調子でそう言って遊児はわたしに跨り、
顔の横にとんって手をつきわたしを見下ろす。
さっきとは違う、色を孕んだ目で。