第2章 ふたり
『そっか!楽しそうだね』
結局これに尽きる。
いろいろは大人たちが考えてるんだろ。
…って来年はもう一応、大人扱いか。
まだ成人してなくても。学生だとしても。
「…いろいろ迷惑かけるかもだけどよろしく」
『えっ ううん、わたしこそよろしくね。カズくんと暮らせるなんてすごいすごい』
「今日2人の親たちはその話?」
「うん、前から話してたけど今日もっと詰めるって」
「カズマ1人で行く理由は何?」
「早いうちに1人で行っとけ、男は特に だって」
「…へぇ すごい信頼とすごい奔放さ」
『…ほんと。 わたし親だったら着いて行きたくなっちゃいそう。
その、カズくんのためじゃなくて、自分のために』
「…あぁ、それお母さんもそう言ってた」
『そうだよね』
「でもまぁ、そんな感じ」
『予定は何年?』
「high school終わり、18まではいれたらいいけど、
おれの成績とスポンサー次第だよね」
『あ、そっか。そうだよね、仕事…』
「まぁ、行ってみてやってみるしかないからいいよ、そういうのは。
ただ、おれも一緒に暮らすからってことと、あと」
「………」
「多分穂波にバイト代的なの出ると思う、スポンサーから。親の話だと」
『…ん?』
「おれの食事管理」
『そんなの一緒に暮らしてたら当たり前じゃん、受け取らないよ。
…っていうかやっぱ着いていけないな」
「まぁまだ時間あるしね、とにかく穂波受かって一緒に行こうね」
『あ、うん。頑張る …ヨ』
まだ大学受かってもないのに、
大学での生活がどんなものか想像でしかないのに、
すでに生活面でのことが決まりつつあるなんて。
お兄ちゃんの家がそこにあるということで繋がってくる、この感じ。
まぁ、きっと大丈夫。
いろいろは、きっと流れるようにどうにかなっていく。
力まず、今を大切に。
わたしよりずっと飄々と、
当たり前にそれができてるカズくんに惚れ惚れしながら。