第4章 宇治金時
ー穂波sideー
お風呂をいただいて、お母さん達に挨拶をして研磨くんの部屋へ。
話し声がするな、と思いながら扉に手をかけるとちゃんとしまってなくて。
扉を開けるのに、ガチャって音がしなかった。
研磨くんはクロさんといつもの調子で話しながらゲームに集中してる。
クロさんはわたしに気付いて人差し指を口元に当てた。
しぃーって。
「……なぁ今度、一日俺に貸して?」
「なにを」
「彼女を。1日だから、24時間」
「やだね」
「本番はしないから」
「は?馬鹿じゃないの」
「じゃあデートだけでも」
「借りようとしてる時点でアウト。
穂波はおれのだけど、でも、そういうのは違う」
治くんにもそういうこと言ってた。
──「俺もう今日兵庫帰るんで、穂波ちゃんとこの後話してもええですか?
もう手は出しません!」
「…それおれに聞くことじゃない」
「どういう意味ですか?」
「なんで穂波が誰と過ごすかをおれが決めるの。意味わかんない」
「…ふーん、じゃあ直接穂波ちゃんと約束すればいいんだ?」
「…まぁ、そういうことになるけど何?」
「あーでも確かに、ツッキーとスノボ行くっつー時もそんな感じだったよな?」
「………」
「でも結局、研磨に決定権があるってこと?」
「…決定権はないけど。口出すことはできるってだけじゃない、相談してくれたら」
「なるほど」
「…なに?」
「いや、なんか」
「………」
「お前、ほんっと穂波ちゃんのこと好きだよな」
「は?何いきなり。そんなの当たり前じゃん」
そんなの、当たり前じゃん……///
「俺より穂波ちゃんのことすきな自信は?」
「は?何?そんなの比較しないし」
「ん?」
「好きの大きさとか比較するものじゃなくない?意味わかんない」
「あー」
「基準が曖昧すぎる、クロなにどうかした?なんか馬鹿っぽいしイライラする」
「…笑 すんません」
しぃーってされたけどいつまでこうしてれば…
盗み聞きは、いやだな。