第4章 宇治金時
ー研磨sideー
穂波は父さんに振られたテストの話に
『ふっふっふー』
とだけ言って笑って、それからピースサインをした。
詳細を言うと、かなりよかった、はず。
穂波は絶対そんな言い方しないけど、
周平に聞いてもかなり良いって言ってた。
穂波の行きたい大学では必須ではないけど、
でもやっぱ80点は欲しいね、って言われてるとこを105点。
120点満点中の105点で、
穂波の行きたい大学よりもっとレベルの高いとこに行けるくらいらしい。
レベル高いっていうのはマサチューセッツ工科大とか、ハーバードとか。
別に海外留学に興味がない人でも聞いたことあるようなとこ。
まぁ、TOEFLスコアだけで入れるわけじゃないんだろうけどさ。
1回目でそれだから、
回数積めばもっと良いとこ狙えるよって流れに一般的になってくんだけど、
良いとこに行きたいわけじゃなくって、行きたいとこに行きたいって感じだから、
そんな流れとは無縁のとこにいるみたいだった。
穂波っぽいな、って思ってたんだけど、
「研磨も大概そうだろ?そういうとこよくわかんねーけど似てるよな」
って周平に言われて、まぁ確かに、そうなのかも、とか思った。
それからなんでかMBAの話になって、
MBAとか興味なくもないかな、とかも思ったりした。
「そっか、じゃあもうTOEFLはクリアしたんだね」
父さんが、安心したように言う。
『はい、なんとか。でもまだまだ課題はいっぱいです』
なんとか、じゃないよね、とかちょっと思うけど、でも別に嫌味な感じは一つもなくって。
それから穂波は『早くラクになりたい』っていう原動力の元、結構勉強、進めてる。
その、SATを次でクリアするために。
あとはエッセイ書いてアプライするだけって状態にするために。
その、切り替えの速さとか、あとやっぱやりたいこととのバランスの取り方とか、
見てて惚れ惚れするものがあって、見てるだけで楽しい。
何より、普段の様子がさりとて変わらないとこが魅力だなと思う。