第4章 宇治金時
・
・
・
「あ、研磨くんだ」
『え?』
花ちゃんと談笑しながらスタジオの出口に向かって歩いてると、
ガラス戸の向こうに研磨くんの姿。
…ん?
「送ってくれるのかな〜♡」
『…?』
「ほらほら、?は置いておいて赴くままに動きなさーい?」
『うん』
花ちゃんの言葉でふわっと?が消え去り、
気付いたら駆け足で研磨くんの元まで。
ぼすっと抱きつく。
「…わ、びっくりした」
『嬉しい嬉しい』
「…ん、別に約束してないのに 今日一緒にゆっくりしたのに足りない」
『うん。うん』
「だから、んと……」
『うちに泊まって行く?』
「え?あ、いや、送ってこうと思っただけだけど……」
『うん!』
「いやでも、穂波がいいなら泊まってく」
『うん!着替え取りに行く?』
「…ん、お腹空いてない?」
『空いてるけど、全然平気。自転車置いてきたから乗って帰れるね』
「うん、じゃあ着替えとりいこ」
そうして手を繋いで研磨くんの家に行って。
研磨くんが用意している間、お母さんとお父さんとお話しして。
研磨くんが降りてきたら、また明日と言って家を出て。
それぞれ自転車に乗って家までぴゅーんと帰る。
・
・
・
家に着いたらお母さんとお父さんが友達とわいわいしてたから、
軽く挨拶をしてお母さんが用意してくれたご飯をトレーに乗せて階段上のスペースに。
研磨くんはソファに深く座ってゲーム。
わたしはご飯。
夏野菜たっぷりのちらし寿司、豆腐とわかめのお吸い物。
副菜もいろいろ作ってあったけど、ちらし寿司にたっぷり色々入っているし、
そんなにいらないなぁと思って。 軽く食べる。
それから研磨くんと一緒にドラマを観た。
久々にSUITSを。
まだ第一シーズン見終わってないけど、次のシーズンも始まってて。
そっちも一緒に見ようね、とか話して。
身体くっつけて、手の甲をさすったりしながら、幸せな時間。