第4章 宇治金時
ー研磨sideー
15:40
おれはキャップかぶって
穂波は麦わら帽子かぶって
まだ暑いけど歩いてアイス屋へ。
アメリカ行く前だから、和の味にしようかな。とか。
おれはあったら黒糖バナナ食べる、とか。
あ、前にアイス屋の店主が話してたグラニタあるかな、とか。
そんなこと話しながらアイス屋まできたんだけど。
【臨時休業】
の看板。 ………。 マジか、結構楽しみにきたのに。
隣を見ると、明らかにがーーーんってなってる顔の穂波。
…どうしようかな。
『…明日!研磨くん、部活の後、こよ?』
「…笑 いいけど穂波レッスンでしょ、夕方から」
『………』
「…じゃああしたテイクアウト買っとくから、レッスン後うちにおいでよ」
『…うん! あ、でも明日はちょっと遅い。2つクラスあるから』
「おれはいいけど。 …おれん家も」
『うん! じゃあお言葉に甘えてそうする!』
「…ん でさ、」
『…ん?』
「あそこ行ってみる? 甘味処」
穂波の顔が更にぱぁぁって明るくなる。
…ほんと、表情豊か。 …ほんと、かわいい。
『行く! わぁ、やったぁ!』
大きな花が、また咲いた。
「…ん、じゃあ行こっか」
手を繋いで神社の方にある甘味処まで。
いつからか毎年、クロと初詣に来てる神社。
そこからの帰りに、よほど混んでない限り、いつも入る店。
今年の初詣では穂波も誘って3人で行って、
その店にも一緒に行った。
そこで、夏にかき氷食べれますか?って穂波が聞いてた。
…開いてるといいんだけど。