第2章 ふたり
ー穂波sideー
出来たー♡
まるで父の日のような渋めな贈り物だけど、
わたしたちのお母さん2人にはぴったりだと思う。
これと、あとはカーネションを添えて。
明日渡そう。
ナッツとチーズでちょっと止まらなくなったのがあって、
それ以降の味見はなぞの緊張感があっておかしかった。
今日研磨くんは泊まっていってそのまま部活へ行くから、
明日の朝… やっぱお弁当かな、サンドイッチにしよっと。
スモークチキンのサンドイッチ。スモークチーズのサンドイッチ。
贈り物用じゃない分で。
「…お腹いっぱい」
『だねぇ、夜は極々軽くしよう』
「心さんたちは食べて帰るんだっけ」
『うん、カズくんのお父さんたちとどっかで食べるって』
「そっか」
冷めたら包むけど、それまで絶対帰ってこないし
ちょっとでも燻製の匂いが消えてると良い。
別にそれが母の日の贈り物だなんて思わないだろうけど。
夜は… フォーがいいな。
スーパーにパクチー買いに行こっと。
ていうか研磨くんってパクチー食べれるのかな。
燻製器はまだ冷めないし、今のうちに買い物行っちゃおっと。
商店街も今ならまだ開いてるし。
『研磨くん、わたしちょっと買い物行ってくる』
「あ、うん。 おれは…家にいてもいい?」
『うん、もちろん』
「…ん、じゃあいってらっしゃい」
『うん、準備して行ってくるね』
「あ、ちょっと一回 …こっち来て」
アウトドアチェアに足をあげて座ってる研磨くんのとこへ行くと、
研磨くんは誘い込むように頬に手を伸ばす。
そしてわたしは真っ直ぐに研磨くんの唇へと近付いていく。
ふっと、ふわっと重なる温かい研磨くんの唇。
何度でも気持ちいい、研磨くんのキス。