第17章 正体
ー影山sideー
『否定的な意味はなくって、んと…』
穂波さんに否定された、って感じたことなんて一度もない。
だから今も大丈夫なんだけど…
一生懸命何かを俺に伝えてくれようとする様が、なんか、
わかんねーけど、なんかよくって。
大丈夫っす、って伝えればいいんだけど、ただ穂波さんのことを見ちまう。
『…ちょっと驚いただけ。
それで、触ったりすることでわかることは、実際この場合あるかもしれないね』
「…はい、ありがとうございます」
『…それでえーっと、なんだっけ…
あ、バレーのチームは知り合いの日本人の方が関わっているところがあって。聞いてみるね』
「マジっすか… ありがとうございます!」
『ふふ… それで、英語。
リスニングは本来数日でどうこうできることではないのかもしれないけれど、
今ここはアメリカだから、それでも影山くんの気持ち次第では、
日本にいる数日とは桁違いの何かを得れる可能性はきっとあるんだと思う。
けどねほんとごめん、わたし英語は本当に教えれない。
説明はできる、訳もできる、けど教えることはてんでだめ。
…でも今なんて言ってた?って聞いてくれたら繰り返して言うのとかはするから、
そういうのは遠慮なく言ってね』
「はい。 じゃあ一緒に外に出たりもしたいっすね」
『確かに、一緒に夕飯のお買い物行ったり、ビーチ行ったり、しよう』
「はい、お願いします」
『…ふふ、影山くん、デザートとかは食べないのかな?』
「いや全然食います」
『わーい、じゃあ一緒に食べよ、準備していいっ?』
俺がデザートを食うって言ったことがそんなに嬉しかったのか?
って考えてしまうような口ぶりでそう言いながら
穂波さんは空いてる皿を持って台所に向かってった。
…なんだっけ、あれだ。
穂波さんは、かわいい。