第17章 正体
ー穂波sideー
息が止まるかと思った。
真っ直ぐ目を見て、
影山くんが一生懸命喋ってくれる。
それだけで美しく尊いのに、
言ってることがちょっと… わたしには刺激的すぎて…
いや全然、いやらしいとかそういう刺激じゃなくて…
ピュアすぎて刺激的すぎて、息するのを忘れていた。
ハッとして息をのんで。
飲んだあとに吸いもしない吐きもしない呼吸にまたハッとして。
『あっ』
変な声を出して、なんとか呼吸を再開した。
そこにわたしの名前がなければ、
単純っにとても純粋に、
影山くん、それはきっと好きっていう気持ちが大元にあるんだと思うよ って言わないけど
心の中で100%思ったと思う。
でも、そこに出てくる名前はわたしであって、
恐れ多くてそんなこと思えない。
自惚れがすぎる。
影山くんだもの。
わたしには見えてないもの、感じとれない世界の何かを感じているのかもしれない。
それを一緒に、解明していこうじゃないか、
あわよくば、わたしにもその正体見させて、
新種発見的な大発見をできるかもしれない、
自分の幅が広がるかもしれない。
と思った。
ちょっと無理くりな気もしたけど、
影山くんがわたしを好きかもしれないなんてそっちの方が無理やりすぎて、
今のわたしには、そう考える方が自然に感じた。
『…そっか、わかった。 正体、わかるといいね』
「はい。 触ったりとかもっとすることでわかったりしますかね?」
『…はい?』
「や、なんつーか… 」
影山くんは以前から突拍子もないことを言い出すことがあって…
今のもわたしにはちょっと、予想外すぎて…
『あ、違うの、ごめんね。ちょっと語気が強い感じになっちゃったかも』
はい? って受け取り方次第ではかなり、強い感じになる、気がした。
何言ってんの?とか続きそうな感じというか。