第17章 正体
ー影山sideー
「…本来目的はそれだけのはずだったんすけど」
『…お』
「目的、になるんすかね… 何個かまだやりたいことがあります」
心なしか、穂波さんの目がさっきより一段とキラキラしたように見える。
「…英語、少しでも身につけたいっす。
喋るのもですけど、聞けねーと話になんね」
『ん、詳しく考えるのはあとにしよっか』
「………」
『今は思い浮かぶことどんどん口に出してこ』
「…ぅす。 あとは穂波さんが大学行ってる間とか…」
『………』
「バレーできるとこあったら、やりたいっす。
公式チームとかは契約上無理なんすけど…」
『…大学や地域のチームとかなら大丈夫ってこと?』
「多分、そうだと思います。
…チームに混ざって練習は無理でもコート貸してもらえたらサーブの練習とかできるんで」
『…おけ』
「…あとは、正体が知りたいっす」
『…正体』
「穂波さんと宮さんが2人でここで会うような仲だって知らなかったです」
『………』
「それ知った時に、ここんとこがスッキリしなくて…」
『………』
「それだけじゃなくて、会えるんだってなったら歯止めが効かなくなる感じとか、
思い出すだけで元気もらう感じとか…、こうして会ってるだけで満たされる感じとか、
あとあれっす… 満たされてんのに同時にもっと欲が出てくる感じとか……」
『………』
「あと、見たことない眼鏡姿に胸んとこがぐってくるのとか…」
『………』
「…もっと触ってたい、もっと知りたい、もっと奥の方までいきたい」
『…奥の方 まで……?』
「そういう穂波さんのことになると湧き出てくるいろんな…
感情とか衝動とか欲求の大元には何か一つのもんがある気がして……」
『………』
「その、正体が知りたいっす」
とりあえずキリのいいとこまで言い終えた、って時
穂波さんがハッとしたように息を呑んだのがわかった。