第17章 正体
ー穂波sideー
クラスが終わってすぐにLINEを開いた。
助けて!のLINEもなければ
もうすぐ乗れそうですのLINEもない。
…研磨くんの言葉を借りるなら想定内。
想定内ではあるけども、と思いながら連絡不精、
携帯不携帯の常習犯であるわたしがとやかく言えることではない。
さささっと荷物をまとめて友達に挨拶して早足で車に向かった。
ハイウェイを飛ばして1時間。空港に到着。
ロビーでそわそわそわそわと待っていると…
出てきた!
影山くん…! と、ジュノ!?
まさかの組み合わせに驚いてしまう。
翔陽くんだったら全部想定内って思っちゃいそうな類の出来事。
人とのコミュニーケーションは目下精進中、な感じの影山くんとジュノが一緒にいるとは。
ジュノは、優しいけど結構、生活そのものががっつりストリートに寄った、
多分ぱっと見も、喋ってみての第一印象も強面タイプだ。
髪型だけが、かわいらしいかもしれない、その、崩れた表情とか次の印象に行く前の段階では。
…あ、でも、日本語も勉強したい。
この頃日本のスケートシーンアツすぎるけど、
なかなか英語や韓国語を喋れる日本人スケーターがいないって言って、
練習した日本語を披露してくれたその口調はなぜか、でもあるあるな敬語でとてもかわいらしかった。
わたしも教えれるのにー、韓国語と教え合いっこしようよーと言いつつ、
クラスが被らなくなって、お互いに趣味に学業に充実した日々でその時間は取れておらず。
とにかく、いわゆるギャップ萌えというやつをそこここに潜ませたのがわたしにとってのジュノ。
『影山くん! 無事着いたね。お疲れさまぁ』
影山くんの意思などお構いなく、思わずハグをしてしまった、と思った。