第17章 正体
ー影山sideー
宮さんのインスタを見た次の日、
チームのマネージャーに予定の確認を入れて
すぐに菅原さんに連絡をした。
──「はっ!?29日ってお前5日後じゃねーかよ」
「ぅす。その日しかなくって」
「…はぁ。で、俺に何をしろと?」
「航空チケットとか調べてみるんすけど…意味わかんないっす。
日本語で打ってんのにNRTとか出てきたり、
値段も全然ちげーし、所要時間も違って、
あとカリフォルニアって打っても空港出てこねーっす」
「………」
「………」
「つまり俺にチケットの予約をしろと?」
「はい」
「はい、じゃねーわ!アドラーズ今日まで仙台いるんじゃなかった?」
「ぅす」
「俺は今日はもう予定ないけどお前は?」
「予定ないです」
「…じゃあ仙台駅の……じゃなくてホテルどこ?」
「…今日実家寄るつもりだったんでホテルとってないっす」
「じゃあ、今いるとこ教えろ。そしてそこから動くな」
待っていると30分くらいして菅原さんが迎えに来てくれて
せっかくなら、っつって烏野に向かって車を走らせてくれた。
その前に腹減ってんだろってコンビニでおにぎり2つとお茶とバナナ買ってくれた。
金払いますっつったら、
「まだいいって。オリンピックで活躍してからなんか美味いもん奢ってー」
って。
烏野食堂でメシ食いながら
俺のスマホで航空チケットを取ってくれた。
直行便で取ってやりたかったけど
1週間切ってるからかほとんどなくってだからか高いって言ってた。
どっか別の国で乗り継ぎすると安いけど、
トランジット…?の時間が長すぎて不安しかないとか。
俺にはよくわかんなかったけど、菅原さんの感覚に沿ってればどうにかなるって気がした。
「いいか、影山。サンフランシスコに着いたら思い出すんだ。
ここはサンフランシスコ。ここはゴールじゃない。
俺が向かうのはLAだ。俺のゴールはLAだ」
「ぅす。 ここはサンフランシスコ。ここはゴールじゃない。
俺が向かうのはLAだ。俺のゴールは …穂波さんだ、じゃダメっすか?」
「あぁぁぁ、ダメに決まってんだろ!ったくこっちの気も知らないで複雑にすんな!」
それから菅原さんは
その呪文の英語バージョンを俺に何度も復唱させた。