第17章 正体
ー穂波sideー
「…まぁあとは穂波から連絡とっていくのが自然かなって思うから」
『うん、そうだね。そもそも心配は色々あるけど…連絡とってみる』
『「…ていうか」』
『ん?』
「いや、穂波からどうぞ」
『影山くん、直行便でくるよ、ね…?』
「ふはっ… おれもそれ思った。トランジット有りだったら予定通りに会える確率は半分になるってとこかな」
『乗り継ぎなしでももともと研磨くんに会える確率の半分くらいに思ってたのに…』
「…ぶっ 笑」
『笑い事じゃないよぅ、切に心配だよ…』
そんな感じでその日は電話を終えた。
そして今日、6月29日(月)
今日から3つ目のクラスが始まって。
一つ目のクラスが今週末に終わるとはいえ、いやだからこそ?
いよいよここから詰め込みに詰め込んだ夏が始まる…という感じで。
そんな中に予定してなかった2人目のお客さまがみえる。
なんだかもう、こうなってくると、いっそう振り切れる。
どうとでもなれ!じゃないけど、いっそう味わい尽くしたい、みたいなのが湧いてくる。
…そんなわけで、午後からもクラスがあるようになって
空港に迎えに行けるのは早くても15時過ぎ。
だから午前に着くのであれば、お店を指定してそこにどうにかして居座ってもらうか…
それかわたしの送ったテキストをドライバーに見せて、大学近くのカフェまで連れてきてもらうか…
そんなことまで考えてしまっていた。
でも、影山くんがLAに到着するのは15時ちょうどの便。
なんて奇跡!って思った。
でもねでもね、その前に、国内線で、ではあるけれど
サンフランシスコからLAに向かう便に乗り継ぎはあるの。
わたしたちからしたら気楽なものだと思う。
もうめんどくさい手続きもない、国内線での移動だから。
けどそれを影山くんが一人で、となると。
一度入国手続きを済ませたあと、国内線に乗り継ぐって…
むしろ国際線で乗り継いでそこからは直でLAの方が…ってくらい、心配。
とにかく今わたしは、
影山くん無事に13時すぎのLA行きの飛行機に乗っててねと思いながら、
午後の物理のクラスを受けている。
ここからサンフランシスコまで600kmは軽くあるんだから、
迎えに行くなんて流石に今のわたしにはできないのーーー