第17章 正体
【すいません、返信遅れました。アメリカでの日にちです】
【ん、わかった。とりあえず穂波に伝えとく。
影山LINEとかできる?】
【LINEはしてます】
【電話番号で検索できる設定にしてる?】
【…わかんないっす】
【ん、わかった】
これ以上聞いてっても埒があかない気がしたから早々に切り上げた。
翔陽から聞いて、穂波に伝えた方が早そうって思って。
で、DMの内容と影山のラインアカウントのリンクを穂波に伝えて、
穂波から電話がきて、話してるのが今。
「…侑くんといい、影山といい、ほんとなんなの…」
『………』
「よりによってカズマがいない時にその2人って」
『………』
「…もー、穂波気をつけてね。
どうせ家に招待するし、おれが何も言わなきゃ泊まってけって言うんでしょ」
『研磨くんが何も言わなくても研磨くんがいやならしない』
「………」
『…いやだった? 気付けないどころか、研磨くんの優しさに甘えてばっかでごめんね』
「…いやじゃない」
これはほんと。
穂波だもん、ってなる。
おれの好きな穂波だ、って。
「いつも言ってる。いやだったらいやって言う。おれ別に我慢強くない」
『…ん』
「…ただちょっと心配なだけ」
『…あ、はい。気をつける』
「穂波が気をつけて解決するようなことならそもそも心配なんてしない」
『………』
今の状態の穂波と、
よくわかんないけど影山が会うのは正直、あぶない気しかしない。
「…でもそういうとこがすき。 …そういうとこも、すき』
『…ん』
「だからおれの負け」
『…?』
「いつまでたってもクリアできない。したくない」
『………』
「…クリアしたってずっと大切にするのに」
『…研磨くん?』
「………」
『………』
おれ今また、心の声がもれてる、ってやつだった気がする。
…穂波といるとたまにあるんだよな、
ダダ漏れになるみたいに、大事なこと口にしちゃってる、みたいなの。