第4章 宇治金時
ー穂波sideー
ふいうちでキスされて、
しかもそれがいきなり色気マックスで…
身体が疼いた。
7月下旬、太陽が真上に行こうとしてる頃の自転車での移動は
太陽に焼かれる感じがたまらなくて
それから風が心地よくって少し、ハイになる感じ。
それだけでもあー気持ちー、あーさいこーってなるのに、
行き先が研磨くんのいる場所なんだもん。
それは持続されるどころかうはうはして、昂っちゃって。
そこに来てあんなキスをされては、次が欲しい、もっと欲しいってなる、のに。
「…ん、ごめん話遮った。 続き聞かせて?」
って。
『へ? …あ、んっとね…』
なに話してたっけ…
『あ、そうだ、ネックレスもピアスもね、ずっとつけてても気にならないし、
でも気にならないのにね、ないと落ち着かないの。でね、気にならないのにね……』
「…ふ 」
『………』
「…? 続けて?」
優しく笑みをこぼす研磨くんに、胸がずきゅってなって言葉に詰まった。
『気にならないのに、そこにあることを忘れることもないの』
「………」
『研磨くん、ありがとう。研磨くんがずっとそばにいてくれるみたいで、ほんとに幸せ』
「…はぁ」
『………』
ため息、ついた。
「…かわいすぎ。 お腹空いてる時にシたくなると止めらんないのに」
『………』
「…とりあえず、上行こ」
『…ん、でもお腹空いてるならもう』
「………いいから、部屋、行こ」
『…ん』
研磨くんのお家に来るの久々だ。
春休みに一度来た。
研磨くんのお母さんが夕飯に呼んでくれて、一緒に台所に立って料理して、
春のご馳走をたらふく食べた。
あさりとか、スナップエンドウとか、菜の花とか、新玉ねぎとか。
2人きりで研磨くん家にいるのはいつぶりだろう?
なんだか、自分家にいるときとは違う、どきどきが胸を支配する。
もうすぐ、お付き合いして2年目になるというのに。
もう何度も、2人きりで過ごしてるのに。